園と小学校との接続
「環境」と「遊び」の認識が全く違うと感じます。
園は「環境を通して行う教育・保育」なので、「環境」とは遊びの場の設定や準備そのものを指すことが多いです。
小学校では、「環境教育」「自然環境」などの理科的な使われ方と掲示物や施設等を含め「教室環境」という言い方をします。
園の保育者は、子どもたちがとことん遊びに没頭するような仕掛けを考えるのが得意です。遊びこめないときは、「環境」が悪かったのだと反省します。どうやって子どもたちを遊ばせようかと日夜考えているのです。
小学校の教員にとって、遊びは子供たちへのご褒美のようなものです。がんばったときや学期末のお楽しみ会で遊ばせてくれます。ふだんの学習では、どうやって遊ばせないようにするかに気を遣います。余分なものは机上に出さないのも遊ばせないためです。
遊べば遊ぶほどほめられていた園から小学校に入学した幼児は、戸惑います。「小学校でも遊んでもいいんだ」と知ることで、心理的安全性が高まります。
「さんすうせっと」は、幼児にとって宝箱です。でも、小学校教員は、いかに遊ばせないようにするかに気を使い、必要なものだけを机上に出させ、指示があるまで触らせません。幼児が小学校で初めに身に付けるのは、待つこと、聞くこと、我慢することになりかねません。
笠原小では、算数の学習が始まる前に、1年生に「かずのおけいこどうぐ」でとことん遊ぶように指示を出しました。そのかわり、時間が来たら自分で片づけをするという約束をしておきます。
園と小学校との接続
10の姿を園と小学校が共有し、つないでいくことが求められているのですが、小学校の先生方にとっては10の姿のとらえ方が分かりにくいと思います。勘違いされやすところですので、まとめてみました。
園では、小学校教育の前倒しを行っているわけではありません。 園で育ててくれた力を、小学校側がゼロスタートでリセットしないように引き継いでいきましょう。
10の姿.pdf
園と小学校との接続
1年生が、遊んでばかりで学習していないように見えるかもしれません。でも、これがスタートカリキュラムなのです。教科の枠と時間の枠を外して弾力的な活動を行い、小学校の生活を園に近づけています。スタートカリキュラムが必要なわけをまとめてみました。ぜひ、ご覧ください。
スタートカリキュラムが必要なわけ.pdf
特別支援教育
ドラえもんに出てくるジャイアンは、暴言・暴力があり、衝動性が強いので、特別支援学級(自閉症・情緒)?
のび太くんは、学習についていけず運動も苦手なので、軽度知的障害と発達性協調運動障害(DCD)のゆっくりさんだから、特別支援学級(知的)?
そうやって、子どもを選別して、できすぎ君としずかちゃんだけの通常学級になったら、先生は楽かもしれません。でも、学級として楽しいでしょうか?
いろんな子がいるから、事件やドラマが起きます。それが学級経営のだいご味ではないでしょうか。毎週、事件が全く起きない刑事ドラマをテレビで見たいと思いますか?
50年前に発表された小説に「兎の眼」(灰谷健次郎 作)があります。笠原小の図書室にもあります。久しぶりに読み返すと、インクルーシブ教育の原点を感じます。若い先生方には、夏休みにぜひ読んでほしいです。
(4月9日 特別支援教育の研修にむけて)
研修
大人も分かったつもりになっているだけかもしれません。例えば、磁石がなぜくっつくのか、使っているうちになぜ電池がなくなるのか、先生方もきちんと説明できないのではないでしょうか。磁力とか、電流とか、イオンとか何か別の用語を使って話すことで、分かったつもりになっているだけかもしれません。リニアモーターカーや電気自動車が次世代の移動手段になる未来において、磁石や電池にはまだ研究の余地があります。
大人も子供も、知っているつもりになっているだけで、チコちゃんに叱られない限りは、それに気づきません。
永遠の5歳児であるチコちゃんは、好奇心旺盛で当たり前のことを疑うクリティカルシンキングができる子です。笠原小からも「なんで?」と鋭く尋ねるチコちゃんを増やしてください。
子どもの思考力を高めるには、試行錯誤の機会と時間を十分に保障しなくてはなりません。時間による効率(タイパ)を求めすぎると、失敗が許されない窮屈な学習になります。
学びを楽しむためには、教師主導によるやらされ感のある授業ではなく、子どもに主体性と自由度をもたせた学習スタイルを構築する必要があります。40分間の学習展開を予想しているくらいでちょうどよいでしょう。
(4月8日 校内研修を始めるにあたって)
その他
笠原小には50年前からすごい石があります。開校100周年の記念に地域の方が校舎1階の階段の登り口に置いてくれました。
自彊の石(がんばりの石)といいます。本当にがんばりたいときにこの石に触ると、パワーアップして力が出せます。ただし、のび太君のような怠け者がさわってもダメです。自分で「ギリギリまでがんばって、ギリギリまでふんばってピンチの連続」のときにこの石に触ってパワーをもらってください。
(4月5日 始業式の校長の話から)