校長のあたまのなか

誰かのせいにしてみても問題は解決しない

2025年12月3日 12時30分
その他

 昨日の夕方のニュースで、富士宮市が大変なことになっていることを知った。市議会の市長答弁の中で「子供が学校に行かないのはなぜかと考えてみると親が悪い。学校が悪いのではない。」(部分)と発言したのである。(その後、市長によって発言は撤回された。)
https://news.yahoo.co.jp/articles/44f2c16988d57e944e4309de36434f3d61e31b12

 市議会定例会では、議員の質問は事前に示され、事務方で答弁書が作成される。答弁書に「不登校は親のせい」と書かれることはありえない。もしかしたら、学校を守ろうという意図があって、市長自らの言葉で伝えたのかもしれない。市長が学校の応援団になってくれることは、一人の校長としてうれしいと感じる。ただ、議員が問いただしたのは「深刻化する不登校問題の現状と抜本的対策を問う」内容だったので、「親のせい」にしても抜本的対策にはつながらない。

 誰かのせいにしても、不登校は解決しない。自分以外の誰かのせいにすることで批判をかわしているだけである。一人の校長として、私がやれることは、子どもにとって学校を少しでも居心地のいい場所にすることである。「ちゃんと きちんと しっかりと」できなくても大目にみる特別扱いを認めるのである。子どもたちからも教師からも「ずるい」という声が上がらないようにするのが、校長の役目である。

 逃げ場所があって、弱音を吐けるのならば、子どもたちは学校から完全離脱することはないと信じている。親も先生も友達も、その子を限界まで追い詰めないようにすることだ。自分が校長のときは、新規不登校の子をつくらないように、一人ひとりの子の思いに寄りそっていこうと思う。