よい子を続けることのつらさ
2025年12月4日 08時36分先日、「誰かのせいにしても不登校は解決しない」と、私見を述べました。その続きです。
教育や行政の現場でいろいろなケースを見てくる中で、なんでこの子がと思うような子が不登校になり、原因がはっきりしないことがありました。
「起立性調節障害」や「不安障害」などの病名がつけば、親はまだ安心できます。原因が分からないから、親も学校も知りたくなるのです。「何が悪かったのだろう」と。
脳や発達障がいや症例に関する本を自分なりに読んできましたが、はっきりとした答えが見つかりません。「ああ、こういうこともあるのか。」と腑に落ちたのは、幼児教育を学ぶ中で読んだ漫画「リエゾン -こどものこころ診療所-」(講談社 原作・漫画:ヨンチャン)でした。園の保育者対象の研修でもたびたび取り上げました。
「過剰適応」という症例があります。親や先生が子どもに過度な期待をかけ、良かれと思って先回りの支援をやりすぎると、子どもの主体性が奪われていきます。指示待ちとなり、周りに合わせようとする態度が育ちます。周囲の期待に応えようとする自分と本来の自分との折り合いがつかなくなると、よい子で居続けることが苦しくなるのです。
本校の教員に伝えたいのは、問題ないと思っている子でも、本人が過剰適応になっているかもしれないと、思いを寄せてほしいということです。「深い子ども理解」の意味するところです。
よい子を続けるつらさに耐えられなくなって燃え尽きてしまい(バーンアウト症候群というらしい)、不登校になってしまうと、周囲は原因が分からずに困惑するだろうと想像します。本人は不登校になる前からずっと苦しんでいたかもしれないのに、よい子だから誰にも気づかれず、誰も手を掛けないということがありうるのです。
校長が「○○さんは、どう?」と尋ねたら、安易に「大丈夫です」と答えずに、何かあると思ってほしいです。