どこまでやらせればいいのか
2025年11月21日 14時34分子どもの数は減っているというのに、不登校の子の数が年々増えている。統計によれば、令和6年度の小学生の不登校は、全国で13万7704人もいる。全体に占める割合は、2.3%になる。過去最高を更新した。
学年が上がるにつれて、不登校が増えていく。中学校では全体の6.79%にあたる生徒、21万6266人の生徒が不登校である。
まるで、子どもたちをふるい落とすように、小中学校が機能しているようではないか。
ここから先は、私見。
個別に支援が必要な子が、特別支援学級に移り、通常学級の中のハードルが高くなったと思う。「きまりを守ってちゃんとやらなくては」「友達と良好な人間関係をつくらなくては」「先生たちともうまく接しなくては」「学習についていかなくては」という圧に耐えられなくなった子が苦しみ、学校を休んでしまうと思う。欠席が長期化・習慣化することで、生活リズムが狂い、学校への復帰が難しくなる。10年を超えれば引きこもりになる可能性が高い。
本校では、「ちゃんと きちんと しっかりと」できなくても、大目に見るようにしている。45分間授業に集中できなくても、10分間ならがんばれる子がいる。無理にやらせようとすれば不適応を起こすだけだ。担任もつらい、本人もつらい。その子なりにできたことを認めていくほうがいい。
「誰一人取り残さない」というキャッチフレーズが多く使われる。小規模校の笠原小では、複数の教員が子どもにかかわり、セイフティネットを手厚くしている。見捨てない、切り捨てない、放置しないように教員に伝えている。
「どこまでやらせればいいのか」という基準は、全員同じでなくていい。学習でも運動でも家庭学習でも、一律の量や時間を求めることは平等でも公平でもないと思うのだ。
「やればできる」という盲信も捨てたい。やってもできない子がいるし、努力が報われないことも多々ある。無理にやらせてできないときは、子どもは自分の能力や態度を責められる。まったくやらなくなってしまうよりも、少しでもやっているほうがいい。無理にやらせないことが教師としての責任放棄にはならないことを、本校教員には伝えたい。できない子をできるようにさせるのが、必ずしも優れた教師ではない。担任は、1年間で子どもに多くを求めすぎないほうがいい。
令和7年度は、本校の完全不登校は0人になった。教室で学習できない子も大幅に減った。登校渋りも減り、新規不登校も発生しなかった。2学期は、118名全員出席の日が3日もある。すばらしいことではないか。校長として大いに自校自賛したい。