校長のあたまのなか

ホワイトライ(やさしい嘘)

2025年10月29日 14時59分
園と小学校との接続

 幼児教育について学び直して驚いたのは、人間は、言葉をしゃべるようになった幼児のかなり早い段階から、嘘をつけるようになるということでした。園の保育士に聞いても、年中さん(4歳児)くらいには、普通に嘘をつけるようになるそうです。

 「倫風」という冊子を学校に届けている団体があります。実践倫理宏正会です。宗教団体ではなく、民間の社会教育団体です。「倫風」の連載記事の中に佐久間路子さんが、子どもの発達と嘘について書かれていて、読むのを楽しみにしています。佐久間さんは、白樺学園大学子ども学部の教授で、発達心理学がご専門とのことです。

 相手のためにつく嘘をホワイトライ(やさしい嘘)として、提示しています。引用します。

 例えばおばあちゃんから、お誕生日などに思っていたのとは違う、あまり欲しくないプレゼントをもらった時、「うーん、これじゃないんだよな」と内心では思いながらも、「ありがとう」と言って喜ぶふりをするような場面です。

 佐久間さんによれば、多くの場合4,5歳頃には、相手を想う嘘をつけるようになるそうです。「嘘をついてはいけない」と一概に指導することが適切ではないことが分かります。

 谷川俊太郎さんの詩「うそ」も題材にして、道徳の時間に子どもたちに嘘について考えさせたらどうでしょうか。校長からの提案です。

うそ

 谷川俊太郎

 ぼくはきっとうそをつくだろう
 おかあさんはうそをつくなというけど
 おかあさんもうそをついたことがあって
 うそはくるしいとしっているから
 そういうんだとおもう

 いっていることはうそでも
 うそをつくきもちはほんとうなんだ
 うそでしかいえないほんとのことがある
 いぬだってもしくちがきけたら
 うそをつくんじゃないかしら

 うそをついてもうそがばれても
 ぼくはあやまらない
 あやまってすむようなうそはつかない
 誰もしらなくてもじぶんはしっているから
 ぼくはうそといっしょにいきていく

 どうしてもうそがつけなくなるまで
 いつもほんとにあこがれながら
 ぼくはなんどもなんどもうそをつくだろう