校長のあたまのなか

通知表で頭を悩ます

2025年9月11日 12時11分
園と小学校との接続

 新聞発表に驚いた。お隣の掛川市教育委員会は、2026年度から全市立小学校の1~3年生の通知表を廃止、2027年度からは4年生まで廃止する方向で検討を進めているそうである。

 岐阜県美濃市に続いて、2つめの事例だ。美濃市には5つしか小学校がないが、掛川市には22の小学校があり、規模が大きい。全国的なニュースになるだろう。過去には神奈川県茅ヶ崎市立香川小学校のように通知表を廃止した小学校があったが、現在は元に戻り通知表を作成していると聞く。学校単位では保護者への説明や周知が大変なので、市で一斉廃止にしたのだろう。昔のコントのネタで言えば「赤信号みんなで渡れば怖くない」(ツービート)といったところか。

 通知表の有無や形式は、文科省や市教委からの指示ではなく、校長判断で決められる。小学校低学年の通知表の作成の有無について、今後議論が高まっていくことに注視していきたい。

 幼児教育に携わった経験からは、園と小学校で子ども観や評価について、差があると感じている。

 年長(5歳児)は、園のときは7~8割が肯定的な評価を受ける。

 1年生になると、3段階評価で最上のA評価が付くのはどんなに多くても5割を超えることはない。1年生に対して担任は、絶対評価といえども、Aと自信をもってたくさんは付けられない。ある子どもが、一瞬だけ最高にがんばっても学期末にAは付けられない。だいたい1年生では、3段階での優劣の判断が難しいのだ。

 架け橋期の教育を円滑に進めるためには、プログラムや通知表の検討よりも、教員(特に1年担任)の発想転換が重要だと思う。園の保育者の子ども観や評価の方法に学ぶ時期が来ているのではないか。