校長にも宿題がある
2025年10月17日 13時03分10月9日、10日に1泊2日の日程で三重県津市に行ってきたので、学校を留守にした。東海・北陸地区連合小学校長会教育研究三重大会に、東海北陸7県から800人以上の校長が集まった。13の分科会に分かれて、教育課題について協議を行った。
令和8年度の研究大会は福井県で行われ、磐周地区で「社会との連携・協働」をテーマに発表する。1年以上前からの校長への宿題である。分科会の趣旨や研究の視点をまとめるのが、私の担当である。
自分なりのアイデアをためている段階だが、牧之原市の竜巻被害と以前に読んだ本の内容が、頭に影を落としている。
2014年刊行の増田寛也氏による「地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)」は、自治体に衝撃を与えた。
増田氏が「消滅可能性」を指摘したのが、静岡県では、熱海市、伊豆市、下田市、御前崎市、牧之原市の5市と、東伊豆町、松崎町、西伊豆町、川根本町の4町である。消滅と言っても、地上から煙のようになくなるわけではない。人口減により財政事情が悪化し、インフラや公共サービスの維持が難しくなるということである。教育とて例外ではない。
牧之原市は、竜巻被害からの復興を始めているが、前途は厳しいのではないか。能登地震からの復興が遅れている状況を見ると、人口減の地方都市の再建は、後回しにされるのではないかという疑念がわく。だから某国会議員の「運のいいことに能登で地震があった」という発言が、被災者の心情を逆なでしたのであろう。子供たちの成長は止まってくれないのだから、教育環境の整備と復興は、最優先に行ってほしいと願う。
令和元年から令和5年5月まで続いたコロナ禍を経て、少子化が急加速した。小学校入学児童が減り、低学年から順に学級数が減った。今後は、複式化や統廃合が課題になってきている。2021年度から2023年度の3年間で、廃校・閉校した小学校は全国で1000校以上だったという統計がある。2024年度以降も年470校ほどが廃校になっている。
文部科学省が「社会に開かれた」「地域にともにある」学校を推進しようとしても、学校のパートナーである地域が、悲鳴を上げかねない状況にある。地域コミュニティの核になるような人材が育ちにくい状況では、「コミュニティー・スクール」や持続可能な社会(地域)の維持も難しくなる。
小学校は、今ある教育スタイルを維持し続けることは難しい。地域との連携を模索しながら、校長として新しい学校像を示すことが必要だと思う。地域コミュニティーと公教育の協働をもとに、校長として創意ある教育活動を提案することを、「研究の視点」に盛り込みたいと考えている。