例えるならブレーキを踏むタイミングの違い
2025年6月6日 11時41分 午前中に笠原こども園を訪問した。1年生と年長児の交流があったからだ。園の保育者と小学校の教諭が一緒に活動するのを見るのは、興味深い。
しっかり話を聞けない子や、並ばない子がいると、先に近寄っていくのは、ほとんど小学校教諭である。許せないし、指導したくなってしまう性分なのである。上の画像で真ん中にいるのは、小学校教諭である。
いっぽう、園の保育者は、子どもの安全に関するときは、動きが速い。そうでなければ、見守っていることが多い。上の画像でも、並ばず、リレーに加わらない子(タイヤの上の3人)がいても、近くに寄りそっている。無理に走らせようとはしない。下の画像でバトンパスを見届けている真ん中の大人は、園の保育者である。
リレーに加わらなかった子は、自分のペースで司会や実況中継を始め、気が向けば集団にひょこっと入ってくる。ほかの子の動きを見ていないわけではないのだ。園ではこういう子が許され、居場所が確保されているから心理的な安全性が高まるのだと思う。
小学校の体育ではどうだろうか。気が向かなければ走らず、集団行動ができず、自分勝手に実況中継をする子は、教員から注意を受けるはずである。困った子として、就学支援の対象にあがるのも時間の問題である。
子どもにしてみれば、園のときには大目に見て許されていたことが、小学校では怒られる材料となる。混乱し、自己肯定感が下がり、二次障害を発症する。「学校は楽しくない」と。
小学校1年の担任は、園の保育者から大いに学ぶべきである。架け橋期がうまくいくコツは、プログラムの内容よりも、教員の心の持ちようである。
車の運転に例えれば、小学校教諭は、早いタイミングでブレーキをよく踏む。園の保育者は、エンジンブレーキをうまく使いながら、ブレーキをあまり踏まないで運転する。下り坂が続く運転では、車に勢いがついている。ブレーキを踏み続ければ「フェード現象」が起き、加熱により制動力が低下する。
小学校教諭は、しゃべりすぎ、指導しすぎて子どもの主体性や自己肯定感を下げてしまう危険性があることを自覚すべきだ。園を訪問して保育者の支援や指導の仕方を見るのが勉強になる。
今日、リレーに加わらなかった子は、来年度本校に入学してくる。そのとき、その子が混乱しないような指導体制を整えることが、架け橋期には重要なことなのだ。園の保育者のようなブレーキの踏み方を小学校教諭にも覚えてもらい、切り替えができるようにすることが、インクルーシブ教育につながる。