子どもの社会自立を見据えた就学支援を
2025年5月2日 15時20分第1回校内就学支援委員会にあたり、校長から職員への話です。
本年度、たくさん職員が入れ替わったので特別支援教育に対する校長としての私の考えを改めて伝えます。
子どもの数が減り続けているにも関わらず、静岡県では特別支援学級の子は増え続けています。特支級を増やし続けた結果、通常学級は楽になったでしょうか?通常学級のハードルが上がったことで、新たにグレーゾーンの子を産み出し、指導困難な状況は続いています。特支級に入れたとしても、そこで無理なら次は、特支校ということになるのでしょうか。校内の就学支援が、先生にとって大変な子の選別作業になってしまうことは、防がなくてはなりません。
私は、本校に勤務する前は、となりの市の幼稚園保育園課で3年間幼児の就学支援と要保護等対策協議会(要対協)に関わりました。そこで驚いたのは、市の就学支援委員会で審議する数です。小学校1年生から中学校2年生までの8年間で審議する児童生徒の総数と年長児1年間で審議する幼児の人数が、同じくらいでした。つまり、幼稚園、保育園、こども園の最後の1年間の就学支援の負担が大きく、ほとんどの子は1年生の段階で、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室へとつながっているのです。園の段階では、ギリギリだいじょうぶだった子を、小中学校で就学支援にかけているのです。インクルーシブ教育の流れの中で、本来ならば通常学級でやれる子たち(手の掛かる子や外国籍の子など)までも特支級や通級に入れてしまっているかもしれないのが今の状況なのです。
ドラえもんに出てくるのび太は、学習が苦手なので、特別支援学級(知的)かLD通級ですか? ジャイアンは粗暴で暴言が多いので、特別支援学級(自閉症・情緒)ですか? そうやって、出木杉君としずかちゃんのような子ばかりの学級にするのが理想ですか? 私は、いろいろな子がいるから学級も学校も楽しくなると思うのです。
本当に大変な子たちは、教育と福祉が両輪になって支えています。教員は「教育」の部分しか見えていません。しかし、笠原小学校は児童養護施設とのつながりが強く、「福祉」の部分が見えやすい特別な学校です。だからこそ、本校に勤める機会を得た私たちは、単に特支級に入れる入れないではなく、子どもの社会自立を見据えた長い目で子どもの支援にあたってほしいのです。初等教育の段階で、人とかかわることのよさや安心感を得ることの方が、学力以上に子どもの将来に必要だと、個人的には思います。
このあとの個別の審議では、「困っている」「大変だ」という情報だけではなく、現在の支援方法の具体とそのときの表れについてもきちんと伝えてください。