校長のあたまのなか

歴史小説のすすめ

2025年1月15日 17時00分
授業

 6年生の社会科で、近現代史の学習が進んでいます。小学生には戦国時代の方が人気なのですが、明治から大正期にかけての上り調子の日本史は、かなり痛快でおもしろいと、個人的に思います。ただ、そのおもしろさは、教科書の記述からは伝わりにくいのが難点です。

 私は、中学生のときの朝読書で、吉村昭さんの「ポーツマスの旗」という歴史小説を何度も読み返すほど好きでした。テレビドラマにもなったので、よけいにハマってしまったのかもしれません。日露戦争の講和交渉を行った外務大臣の小村壽太郎(こむら じゅたろう)が、主人公です。歴史の躍動感が、人間の生きざまとして伝わるので分かりやすくなります。司馬遼太郎や城山三郎の小説も、当時の様子を生き生きと伝えてくれます。不平等条約では失敗しましたが、明治から昭和初期にかけて、日本はすぐれた政治家を輩出し、国力を高めていけたことは、幸運だったと思うのです。

 歴史マンガが好きな子は、次は、歴史小説を読んでみることをおすすめします。中学校や高等学校での学習でも必ず役に立ちます。私が、社会科の教員になったのも、歴史小説でおもしろさを知ったのがきっかけです。