校長のあたまのなか

「鼓濤教育」がつくる未来の笠原を支える人材

2024年12月12日 15時00分
その他

 校長として、令和7年度学校経営構想を考えている。1月には職員に提示できるよう準備を進めているが、ずっと心に引っかかっているのが「鼓濤教育」というキーワードである。(以下のリンク参照)

https://kasahara-e.fukuroi.ed.jp/plugin/blogs/show/17/53/4483#frame-53

 「鼓濤教育原論」は、― 公立学校における長期の教育計画はいかにして可能かという壮大なテーマのもとに執筆されたが、未完のため、「鼓濤教育創造の為の具体的な方法」等を知ることはできない。目次の最終綱「鼓濤教育実行の結果」によれば、教師・児童・父母の幸福享受に寄与するものを目指していたのだと察せられる。

 いろいろと調べたが、その後50年間、笠原小学校では、「鼓濤教育」について、再定義、理論構築等を行うことはなく、漠然として本校ならではの教育全体を「鼓濤教育」と呼び、一部で使用してきたのだと思われる。10年近く前の「広報ふくろい」には、校風として以下のような紹介があった。

https://www.city.fukuroi.shizuoka.jp/material/files/group/15/150401_16.pdf

 50年前の理念が残っているのか、笠原コミュニティーセンターが主催する成人対象の教室や行事が今でも「鼓濤学級」と呼ばれ、活動が続いている。もとより、「鼓濤教育」は、学校だけでなく、地域を巻き込んだものだった。

https://fukuroi-comicen.jp/news/news-362465/

 コミュニティースクールや地域学校協働推進活動が進められる今、「鼓濤教育」を「笠原地区とともにある笠原小学校の教育」として再定義し、その理念や進め方を教職員と地域住民で、共有していこうと思う。令和7年度の学校経営構想は、校内のみならず、地域に発信するものとなる。「鼓濤教育」の理念や進め方の軸を考えてみた。

「笠原に親しみ、笠原を自慢できる子」をめざし、自然、文化、歴史、産業、防災等の地域学習を位置付け、地域人材との交流をさらに深める。地域を知り、調べ、まとめ、発信する探究学習を進める。キャリア教育の中でより良い生き方を考えさせ、笠原を愛し、未来の笠原を支える人材を輩出する。

 小学校での生活科や社会科、総合的な学習の時間の中で、地域学習に重点を置き、笠原のことを学び、笠原が好きな子を増やし、笠原の自慢を発信していく。笠原のことを学ぶために、笠原の地域人材の力をもっと学校に取り込んでいく。

 大人になっても笠原が好きで住み続ける子、笠原を離れても笠原に思いを寄せられる子を小学校から育てようと思う。そうすれば、人口減少が進んでも限界集落となることは避けられる。令和の「鼓濤教育」は、地方としての生き残りをかけ、未来の笠原を創り支える人材を育成するものとなろう。