校長のあたまのなか

漢字の指導について考える その1

2024年11月18日 07時59分
授業

 年齢のせいなのか、手書きの機会が減ったせいなのか、私は、書けない漢字が増えている。先日、書けなかったのは、「鞄」だ。偏(へん)の革は問題なし。旁(つくり)のごちゃごちゃした中の部分が思い出せなかった。

 しかし、情報端末での漢字変換機能は優秀であるから、漢字が書けなくても読めてさえいれば、それほど問題は起きない。何とかなる。

 小学校段階では、書き取りを熱心に行うが、今後は漢字の「読み」をより重視すべきだと思う。新出漢字指導は、だいたい以下のようなものである。

① 漢字の提示(板書、デジタル教科書、漢字ドリル)

② 形、読み、筆順の確認(字の成り立ちや意味を含むこともある)

③ 指での空書き 漢字ドリルやノートでの書く練習

④ 日々の書き取り(宿題)

⑤ 漢字小テストやプリント

 1年生から6年生までに習う漢字は、1026字もあるのだ。日々、使わなければ、脳の短期記憶の段階にとどまり、どんどん忘れていく。習った字を忘れないようにしながら、新しい字を覚えていかなくてはならない。だから、「手が覚える」くらいに書かせる指導が従来から行われてきた。寺の坊主の写経並みに、与えられたお手本を日々書き写す、根性論のような練習が続くのだ。

 陰山英男さんは、「陰山メソッド」として、短期間で集中的な漢字学習と、その後の徹底した反復学習を行った。その学年で習う字は、5月ごろまでにすべて習い、あとはひたすら反復練習で定着させていく力技のような指導である。陰山さんのようなカリスマ教師でなければ、ここまで子どもたちを追い込むのは難しいと思う。