校長のあたまのなか

公立中学校ピンチかも

2025年7月4日 09時39分
園と小学校との接続

 昨日、浜松市教育会館で行われた「西部地区中学校合同説明会」に出席してきた。静岡大学附属浜松中学校と9つの中高一貫校が13分間のプレゼンで自校の特色と入試情報を伝えた。

 成績処理等で忙しいこの時期に、6年生担任を出張させることもないと思い、15年ぶりに参加させてもらった。私立の中高一貫校が、どんなふうに自校アピールをするのか見たかったせいもある。

 さすが、私立の学校はパンフレットに手間と費用を掛け、プレゼンも上手である。しかも、学校ごとに生徒のターゲットを絞り、指導のウリを明確に打ち出してくる。

 公立の中学校が、文科省の提示する標準時数ぎりぎりで指導しているのに、ある私立校は公立校の1.4倍も多く英語や数学などの授業を行う。しかも、独自の英語カリキュラムやホームステイなどで、質の高さが保証されている。公立校では地域移行が進む部活動も、私立では思いきり行える。アイドル部など、公立校ではありえない部もあった。

 この流れ、以前も感じたことがある。公立の幼稚園は入園者数が減り、統合や再編が進むのに、私立の保育園やこども園は人気がある。隣の磐田市で、公立園に在籍する園児と私立園に在籍する園児の数が逆転し、私立園優勢になったのは、令和5年だったと記憶している。私立園は、遊具などの施設の良さに加え、座禅やヨガ、英語や小学校教育の前倒しなどで特色を打ち出した。園案内のパンフレットや園のホームページでの情報発信も手間と費用を掛けていた。預かり時間も長く、保護者の保育ニーズに対応していた。公立園の教育・保育にはすばらしいものがあったが、アピールが足らないのか、保護者は私立園を多く選ぶようになった。契機になったのは、3歳以上の保育料無償化だと思う。

 授業料無償化、または学費負担軽減の施策が取られれば、私立中学校にもっと人が流れると私は予想する。

 家庭に経済的な余裕があり、子どもに学校が求める能力があるならば、中高一貫校の方がお得に感じる。新幹線の乗車に例えれば、私立中学校は指定席やグリーン席で、公立中学校は自由席だろうか。市教委が熱心に小中一貫教育を進めても、中高一貫教育の方が保護者に響くと感じる。高校入試がなく、大学進学や就職までのサポートが手厚いからである。浜松市にある2つの私立校は、こども園から大学までつながっている。

 大部分の児童が地元の公立中学校に入学するからと言って、安心していてはいけないと思う。(それは公立小学校も同じである。)園と中高一貫校は似ていて、私立優勢で公立より特色を出しやすい。自校の良さや自慢や実績をアピールできないと、公立小中学校はこれからの時代、苦しいかもしれない。自分の生き方やキャリア形成についてしっかりとした考えをもっている子ほど、自分がやりたいことができる中高一貫校を目指すようになるだろう。