ランキングではない評価が子どもを伸ばす
2025年6月20日 09時50分学期末、通知表は、保護者も関心が高い「評価」である。
しかし、小学校の学期ごとの学習評価は、単にその区切りでの学習の達成度の目安に過ぎない。
本校の教員には、「ポジティブ行動支援 (Positive Behavior Support)」を行いながら、子ども主体の「形成的評価」に力を入れてもらいたいと願う。学習の過程で児童の学習状況を把握し、フィードバックし、改善につなげていくのが「形成的評価」である。アメリカの教育心理学者ブルームが提唱し、1970年代に日本に導入された。
私たち教師は、通知表作成のために「総括的評価」を時間をかけて行う。実態としては、「形成的評価」が効果を発揮するように活用する時間はあまり作れていない。「個に応じた支援」とか「深い子ども理解」とか言いながら、知識の習得度をテストで測定し、3段階に序列化する作業に昔から熱心すぎるのである。
「形成的評価」という言葉よりも、八野正男さんの説明の方が伝わりやすいと思うので以下に示す。八野さんは教育心理学者で評価の専門家である。
1 心の通い合う評価
学習の主体である児童生徒のサイドに立った評価、児童生徒と教師が適切な相互関係をつくりあげていくことのできる評価
2 やる気を起こさせる評価
学習意欲を高め、自発的、主体的な学習の確立が可能になるような評価
3 能力や適性にあった指導が行える評価
一人ひとりの児童生徒にとって最適で、無理、無駄のない指導が行えるような情報が得られる評価
4 人間性を豊かにする評価
思いやりや実行力のある人間の形成と全人教育の推進に役立つ評価
5 教育目標が十分に達成できる評価
落ちこぼしをつくらない学習指導、完全習得学習を目指す指導に役立つ評価
「実践教職課程講座 11 教育評価 第1章 教育評価の意義 八野正男」(日本教育図書センター 1988)
浅羽学園全体で取り組む「ポジティブ行動支援 (Positive Behavior Support)」は、八野さんのいう「やる気を起こさせる評価」「心の通い合う評価」「人間性を豊かにする評価」に直結すると思う。本校全教職員で、強力に推進してほしい。