Wanderlust(ワンダーラスト) 愛着形成の先にあるもの
2025年5月12日 12時35分私が、子どものころ好きだったアニメの1つに「ムーミン」があった。主人公のムーミンよりもスナフキンにあこがれていた。スナフキンは、いつもあちこちを旅していて、ときどきムーミン谷に戻ってくる。そしてムーミンたちにすてきな話をしてくれる。「スナフキン」をネット検索していただければ、ビジュアルも名言も多く見つかるだろう。
スナフキンを旅へと向かわせるのが、Wanderlust(ワンダーラスト)である。未知なる旅や探検への願望、放浪心などと訳される。ムーミンは、スナフキンに接することでムーミン谷以外の世界に興味やあこがれをもつ。
人は幼児期の愛着形成を経て、安全基地からの探索行動を始め、外の世界へと活動の範囲を広げていく。その水先案内人の一人が教師なのだと思う。外の世界の不思議や魅力を伝える大事な仕事である。学ぶ楽しさや友達といっしょに活動する良さを体験させることは、小中学校でもっと重要視されてよい。
幼児教育に携わっていた3年間で驚いたことがある。園には不就園はあるが、不登園はなかった。不登園調査もなかった。園では登園渋りや母子分離不安はあるが、不登園への危機感は感じられなかった。子どもたちは、園の環境ならば居られるのである。
子どもたちを外の世界へといざなう、スナフキンのような存在になるには、教師がもっと自由で楽しく仕事ができるようになるといい。そのために、校長として働き方改革を進め、教師が子どもたちとゆっくりと話ができる時間を生み出していきたい。
学ぶ意欲をなくし、傷つくことを恐れ、安全基地という殻に閉じこもってしまう不登校や引きこもりの子を新たにつくらないようにするためだ。
人は古来、Wanderlustがあることで、冒険や探検をとおして新たな発見をし、歴史をつくってきているのだから。