校長のあたまのなか

安全基地の大切さ

2025年4月18日 10時24分
園と小学校との接続

 園で保育者にくっついて離れない子を見かけることがあります。私が、園を訪問したてのころは、甘えん坊な子だと思っていました。幼児理解が進むと、愛着形成に問題があることが分かってきました。

 母親や保育者など、特定の人と愛着形成ができると、自分の安全基地をもてるようになります。広島県教育委員会が作成したポスターが、私はお気に入りなので以下に添付しておきます。

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 安全基地ができると、幼児は少しずつその人から離れて、探索行動をとり始めます。不安になると、安全基地である特定の人のところに戻ってきて、自分の安全を確かめます。繰り返すうちにだんだん、安全基地である特定の人から離れても、見守ってくれているだけで安心できるようになるのです。園のときに、母子分離不安がある子を無理に母親から引き離さない対応は、正解だと思います。何事も急ぎすぎてはいけません。愛着形成の問題は深刻で、幼児期に安全基地をもたない弊害は、成長してから現れることがあります。

 1年生の中にも、安全基地が完成していないと感じる子がいます。そういう子は、わがままなだけに見えます。1年生の指導にかかわる教員は、注意が必要です。「ちゃんと、きちんと、しっかりと」やらせようとしても逆効果です。言葉で説明しても、なだめても、その子には届いていません。しばらく、そのままにしておくのがよいです。無理にやらせようとすると、その子にとって、教員が安全基地ではなく、攻撃基地になってしまいます。小学校が心理的に安全な場所でなくなれば、その子は二次障害として不適応を起こします。

 子どもに愛情を注ぐというのは、単に甘やかせることではなく、教員がその子の安全基地になれるように寄り添うことです。学級の心理的安全性を高めることが、小1ギャップをへらすことになると思うのです。

 架け橋期である1年生への接し方は、園の保育者から学ぶのが一番です。私は校長として、自校の教員をとなりの笠原こども園に積極的に連れ出そうと思っているところです。