校長のあたまのなか

大人の視点で読み直してみると

2025年4月22日 12時48分
その他

 私には20年来、中古レコードを集める趣味があって、ときどき買い足している。2年ほど前に谷山浩子のLP「猫の森には帰れない」を安く手に入れた。1977年発売のアルバムだが、かなり状態がよかった。(今回は、校長私物の画像割愛)

 B面には、あまんきみこ の「車のいろは 空のいろ」のお話をもとにした歌やせりふが入っている。運転手の松井さんも登場する。「白いぼうし」はないけれど、「すずかけ通り三丁目」「山猫おことわり」「本日は雪天なり」の歌がある。50年ほど前のレコードだが、今聴いても独特の世界観が心地よい。

 4年生が「白いぼうし」のよい授業をしているのを参観して、久しぶりに「あまんきみこ」さんの本が気になった。学校の図書室に行くとちゃんと3巻そろっていた。

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 改めて大人目線で「白いぼうし」を読み直してみると、いろいろと気になった。

 まず、コンプライアンスの件である。教科書では以前から修正が入っているが、原作では、「たけのたけお」くんのことをチビ呼ばわりしている。1968年初版の本だから、昭和のコンプラでセーフとされたのだろう。

 次に、松井さんの不遇である。女児にタクシーを乗り逃げされたあげく、最後に「よかったね」もないものだ。夏ミカンも失い、ちっともよくない。松井氏に同情する。

 それから、運転経路である。裏表紙には地図が載っているので、想像をふくらませることができるのだが、どの道を通ったのかよく分からない。「ほりばた」から特定困難なのだ。

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 推理してみる。城跡の地図記号はないが、私は「まんなか広場」の周囲に城堀があるとにらんでいる。大通りは駅前から西にのびる中央の道ではないか。駅前大通を西から東に進み、途中経路はよくわからないが、最後は団地の前(南)の小さな広場に着く。いかがだろう?

 「白いぼうし」だけを読むよりも、ほかの話も一緒に読む方がおもしろさが倍増する。お金を払ってくれたお客なのに困ってしまうこともある。「すずかけ通り三丁目」は、おすすめである。ちょっと悲しくて、ちょっと怖い。

 週末は、谷山浩子のレコードを聴きながら「車のいろは 空のいろ」をじっくりと読み直してみるつもりである。

 4年生の本好きの子にも、あまんきみこ 作品のシリーズ読みをおすすめします。おもしろかったら、校長室まで感想を送ってくださいね。