ここ数年のうちに、就労支援B型の事業所が増えたように感じます。磐田市や袋井市周辺を車で走っていると、看板をよく見かけます。以前はコンビニだった建物やビルの一角などに事業所を構えています。本校の周囲にもいくつかの事業所や施設があります。
障害者が受けられる福祉サービスの1つです。A型もあります。前の職場の隣の部署が福祉関係だったので、担当者と仲良くなるうちに福祉サービスについて詳しくなりました。生まれた時から年老いるまでずっと、福祉と教育の両輪の支援を受け続ける人たちがいることを知り、自分が「当たり前」だと思っていた知識の狭さを実感しました。
その子(以下Оさんとします)は、幼少のころから発達障害の診断を受け、服薬していました。当時はどの小学校にも特別支援学級があるわけではなく、Оさんは通常学級で過ごしていました。ただ、学校の先生とうまくいかず、中学校で不適応を起こしてしまいました。
療育手帳を取得し、就職を試みますが、長続きせず、職を変えながら、今は就労支援B型を利用しているそうです。A型ならば雇用してもらえるのですが、B型なのでそのたびに工賃を受け取って生活しています。低学年のときから母親がよき理解者で、今もОさんを支え続けています。Оさんにとって私は、数少ないまともな先生だったそうで、慕ってくれています。
過去10数年間、小中学校で特別支援学級を増やし続け、義務教育としての手厚い支援体制を築いてきました。しかし、子どもたちの社会自立までを見据えて、学校で支援できていたのかは疑問です。
就労をしてから、その子の特性に配慮してもらえず、人とうまく付き合えなかったり、仕事がうまくこなせなかったりすることで退職することが起こりえます。
Оさんは、集中力にむらはありますが、能力がそれほど低いわけではありません。でも、就労と退職を繰り返し、挫折を味わうことで、自己肯定感が低くなってしまわないかと心配します。
もしかしたら、就労支援B型の事業所が増えたのは、特別支援対象の子を増やし続け、その子たちが大人になって困ったときの福祉としてのサポートが必要になったからではないかと推測できます。私たち教員は、その子の今をどうするのかを考えるだけでなく、その子の未来をどう支えるのかという視点と知識を持ち合わせなければならないと思います。そういう、特別支援教育のスペシャリストが小中学校には必要です。「大人になってどういうふうに困るのか」「困ったときにはどのようなサポートがあるのか」「よりよく生きるためにどんなことを身に付けていかなくてはならないのか」等、教師は子どもたちに対して説明責任を果たすことができるでしょうか。
興味のある方は、校長室から借りてください。
ちなみに、療育手帳の区分にもAとBがあるのですが、違いが分かりますか?
https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/shogaifukushi/chitekishogai/1023697.html