校長のあたまのなか

叱れない教師は指導力がないのでしょうか?

2024年7月24日 08時10分
研修

 笠原小学校の夏の校内研修は3日間あり、先生方が講師役になって、いろいろなテーマで講義や演習を行い、対話や協議に移っていきます。とても主体的で学びが多い研修だと感じます。生徒指導主任のこんな話が印象的でした。「学年が集まったときには、若手の教員が叱り役でした。学年主任を前に出すなと言われていました。厳しく叱ることが指導力だと、当時は思っていました。」

 ゼロトレランス(毅然とした対応)方式が、もてはやされた時期もありました。厳しさを良しとする考え方は、教育現場にまだ残っているように感じます。

 本校では、ポジティブな行動支援(Positive Behavior Support)のやり方で、ほめて子どもたちの行動を変えることを試みています。生徒指導主任は、「注意する・叱ることはしてはいけないのか」という問題提起をしてくれました。

 4月当初に、校長として「子どもたちを頭ごなしに叱ること」をやめるようにお願いしました。本校の先生たちは、大声で子供に怒鳴ったり、叱責したりすることはありません。

 しかし、叱らないことで子どもたちに舐められる、軽んじられると心配している方もいるかもしれません。もし、そうならば、村中直人さんの本を読んでほしいです。

 叱ることは教師が考えるほど効果がありません。「あなたのためを思って叱っている」は、ウソです。叱る人にとって快感なので、叱る依存が止まらないのだそうです。衝撃的な内容でしたが、納得しました。

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1号、2号、3号、イジョウジ ミマンジ?

2024年7月23日 12時27分
園と小学校との接続

 小学校は、夏休みに入りました。先生方にとって、一息つけるうれしい時期です。(幼稚園も同様)

 ところが、こども園や保育園ではそうはいきません。土曜保育もありますし、夏休みすらありません。お盆期間中の閉庁日もとれないでしょう。それは、2号や3号の子たちだからです。

 幼児教育に携わることになった当初の私は、理解できない専門用語ばかりでした。「1号、2号、3号」(これに「新」が付くこともある)は、サンダーバードや仮面ライダー、パーマンのことではありません。(また昭和レトロの癖が出た・・・)

 1号は、幼稚園の子。2号は保育園の子。3号は3歳未満の子。園の給付認定は3つの区分(1・2・3号)に分かれていて、認定区分によって利用できる施設や入園手続きが異なります。こども園では1つのクラスに1号の子と2号の子がいて、1号の子だけが夏休みになります。3号の子は、「未満児」とか「未満ちゃん」とか呼ばれていましたが、保育園枠なので夏休みはありません。1号と2号の子は、3歳以上なので「以上児」と呼ばれています。

 小学校の職場環境はブラックだと言われることもありますが、長期休業中には、かなりゆったりと休暇を取ることが可能です。しかし、こども園や保育園は、小学校の先生のようにまとめて休暇を取ることが難しいです。しかも、早番、遅番、土曜勤務のように通常の勤務時間も変則的です。公立園の保育者は、選挙事務や避難所運営などを担当することもあります。深夜まで投票箱の開票作業に携わり、翌朝出勤ということも起こりえます。小学校の教員以上に、公立園の保育者は大変だと感じました。

 笠原小学校の先生方には、夏季休業中の余裕があるときに、「笠原こども園」の様子を見に行ってもらいたいと思っています。そのときは、園に併設されている「児童クラブ」で過ごしている小学生にもぜひ声を掛けてあげてください。

何のために勉強するのですか?

2024年7月19日 08時48分
授業

 みなさんは、学校の勉強が楽しいですか? 何のために小学校で勉強するのだと思いますか?

 校長先生は、「ドラえもんのようになるため」だと考えます。教科書で学んで覚えたこと(知識・技能)は、ひみつどうぐです。勉強すると、みんなの中のひみつどうぐが、増えていきます。でも、ひみつどうぐの中には、よく使うものとめったに使わないものがあります。学校の勉強でも、大人になってめったに使わないものもふくまれています。だから、勉強しなくてもいいのでしょうか。

 もし、「タケコプター」と「どこでもドア」しか持っていないドラえもんがいたら、だいじょうぶでしょうか?

 ひみつどうぐをたくさん持っていても、じょうずに選べないドラえもんは、困ります。空を飛びたいときに、「スモールライト」を出してもダメなのです。小学校の勉強では、どのひみつどうぐがいいのかを考え、判断し、使う力(思考力・判断力・表現力)も身に付けていきます。

 ひみつどうぐがふえて、じょうずに選べるようになってもまだダメです。ネコ型ロボットは、のび太君を助けるのが一番大切なのです。

 みなさんも、学校で勉強して知識や技能が増え、知識を上手に使えるようになっても、最後に自分や社会の役に立てなければダメなのです。これを「学びに向かう力、人間性」といいます。

 「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「学びに向かう力、人間性」という3ポイントを一人一人チェックして先生方がつくったのが、今日もらう「つうしんぼ」なのです。たくさんひみつどうぐを増やして、上手に選んで使い、自分や社会の役に立つような「ドラえもん」を目指して、これからもがんばりましょう。

 大きな事故やけががなかっただけで、校長先生は大満足の1学期でした。楽しい夏休みを過ごしましょう。(719日 終業式の校長の話)

インクルーシブ教育の中での「特別扱い」

2024年7月16日 16時30分
特別支援教育

 本校では、通常学級に在籍していて、学校生活や学習に困難が伴う一部の子に対して、「特別扱い」をしています。無理をさせず、叱責しないことが基本です。その子が頑張れるための、環境調整を可能な限り行っています。いわゆるグレーゾーンと言われるような子たちで、学校での支援が難しいとされています。「誰一人取り残さない」が、スローガンのみにならないように、チーム学校で対応をしているところです。

 「特別扱い」が、「あの子だけずるい」につながらないように、きちんと伝えたほうがよいと考え、個人が特定されない範囲で、説明しようと思います。

【事例1】

・教室に入ることが難しい算数と社会科の学習は、少人数または個別指導で対応。級外教員か支援員が付く。

・その他の教科等でも、どうしても教室にいられない場合、担任に伝えたうえで、校長室または保健室で対応。本人には否定的な言葉がけをせず、できたことを認めるようにしている。

・保護者との面談を行い、校内でのケース会議を経て、対応を決定した。初めに特別支援教育ありきではないので、特別支援コーディネーターは、ケース会議に加わらなかった。

・スクールカウンセラーとの個別面談や取り出しによる日本語支援は継続中。

・ただし、就学支援も同時進行で進め、特別支援学級への入級の可能性も探っている。

【事例2】

・無気力または、学習についていけず、授業妨害に近い態度が見られることがあったため、頻繁に授業巡視を行い、複数人の目で状態を観察した。学級全体にも良くない影響が出始めていると判断し、対応を開始した。

・本人には「教室にいるのがつらいときには、別室で過ごしてもよい」ことを伝えた。保護者にも連絡をして、承諾を得た。夏休み中にケース会議を実施予定。

・自分から教室を出なかったり、その場を動かなかったりしたときには、担任以外の級外職員で対応して、クールダウンを行った。校長室でじっくりと話を聞くこともあった。

 

 事例1の子も事例2の子にも共通していたのは、自己肯定感がかなり低いことでした。困った表れへの対処だけでは、問題は解決しないと感じます。学級編成替えがなく、人間関係が固定化していることも一つの要因ですし、愛着形成を含む家庭での問題も関係しているかもしれません。

昨夜の大雨を受けての対応

2024年7月16日 08時20分
防災

  以下は「ウエザーニュース」の記事の引用です。

 静岡県掛川市は716()429分、土砂災害発生の危険性が高まっているとして、上土方地区(かみひじかたちく)の341世帯995人に警戒レベル5「緊急安全確保」の避難情報を発令しました。(7時15分解除)

 掛川市に隣接し、土砂災害警戒区域が敷地内にある本校では、児童の登校前に安全確認を行いました。三沢川の水量が増し、濁流が流れていましたが、児童の登校の安全が図れると判断しました。平左エ門橋に校長が立って児童の登校を見守りました。

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 歩行者用の橋の幅が約3m、川を流れる木片が5秒で通過しました。秒速0.6mくらいの流速です。

 校地内の遊水池の水量が増えています。

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 正門へと上がる坂道の崖は、上の茶畑から水が流れ出ています。

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 崖崩れの兆候が見られ、危なくなったら、正門に上がる坂道をコミュニティーセンターのところで封鎖します。

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 なんとか、子どもたちは無事に登校できました。

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「自分勝手なことをする子」への対応

2024年7月12日 13時47分
特別支援教育

 「特別扱い大いに結構」が、笠原小インクルーシブのやり方です。

 本校の通常学級には、みんなと一緒に学習することが難しい子が何人かいます。自分勝手なことをしたり、授業の妨害をしたり、教室に居られなかったりします。そういう子に対しては、特別扱いするように指示しています。できていないことを無理にやらせようとしても、今より状況が良くならないどころか、逆に悪化することがあるからです。

 「〇〇さんだけ特別扱いできません。」「それは、甘えやわがままです。」「一人なら何とかなりますが、〇〇さんのような子が何人も出たら対応できません。」とかいう声も聞かれました。

 それでも、特別扱いをお願いしました。無理な部分は、校長が引き受けて納得してもらいました。そのほうが、担任にとっても、その子にとっても、幸せな状態を保てるからです。どんな特別扱いをしたのかについては、次回。

小数倍の意味を考える

2024年7月11日 14時25分
授業

 5年生の算数の学習で、「かける数が1より小さいときは、積はかけられる数より小さくなる」の理解が難しいと感じた。子どもたちは小数倍の意味をイメージできるだろうか。

 たとえば、4✕3=12なので、積である12は、4より大きくなっている。かけ算は同じ数のたし算だから、4✕3=4+4+4=12で、イメージできる。

 しかし、4✕0.3の場合はどうだろう。たし算でイメージすると 

✕0.3=4+??????? (私には わからん)

 校長は考えた。いろいろ考えた。うんと考えた。

アブ ハチ 確認

2024年7月10日 12時44分
環境教育

 昨日、学校のプールで、水泳の学習中に、6年女子が虫に刺されました。当初はハチだと言われていましたが、アブだったらしいです。確認のため、午前中にプールとビオトープを見て回りました。スズメバチやアシナガバチはいませんでしたが、シオヤアブがいました。これに刺されたのかもしれません。ハチの巣も付いていませんでした。

 ほかにも害虫がいるのではと、最近話題のクビアカツヤカミキリを探したのですが、いませんでした。そのかわり、ベニスズメという大きなガの幼虫を見つけました。一瞬、ヘビの子かとビックリしました。ちょっと気持ち悪い幼虫ですが、成虫になるとデルタ翼のかっこいいガになります。捕殺せず、そのままにしておきました。子どもたちが見つけたら、ギョッとして、報告に来ることでしょう。

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