校長のあたまのなか

運動会が楽しくない

2025年10月17日 08時29分
研修

 校内運動会が近づいてきました。子どもたちは元気で、昨日も今日も欠席は全校で1名だけです。

 登校の様子を見守り、子どもたちに話しかけていると、こんな声が何人かの口から聞こえてきます。今日は、2時間目に全校で縦割りリレーの練習があるのです。

「リレー、やだ。」「走りたくない」「運動会ゆうつ」

 教員は運動会に向け、子どもたちを盛り上げ、追い立てていくのですが、誰もが皆、運動会を楽しみにしているわけではないことを忘れずに、声掛けをしていけるといいです。

 急に走るのが速くなる魔法やひみつどうぐがあるわけではありません。阪田寛夫(さかた ひろお)さんの「びりの きもち」という詩は、子どもの心の声を代弁してくれています。教師は「びり」の子に共感し、寄り添う態度が大切だと思います。本校の先生方は、PBSを意識して「びり」の子にどんな声を掛けるのでしょうか?

びりの きもち

 さかた ひろお

びりのきもちが わかるかな
みんなのせなかや 足のうら
じぶんの鼻が みえだすと
びりのつらさが ビリビリビリ

だからきらいだ うんどうかい
まけるのいやだよ くやしいよ
おもたい足を 追いぬいて
びりのつらさが ビリビリビリ

保育の中での理科教育

2025年10月16日 11時58分
園と小学校との接続

 4年生といっしょに笠原こども園へ行ってきた。今回は教育実習生も誘った。保健室もなく養護教諭もいない園の様子を見てもらいたかったのだ。

 園庭で遊ぶ子らを見ていると、小学校以降の理科教育につながっていると感じる。幼児期の原体験が、感性(センス・オブ・ワンダー)を豊かに鋭敏にするのだと思う。家庭による差がなく、共通体験として共有できることが、小学校側としてありがたい。

CIMG9443

CIMG9447

 砂や泥でたっぷりと遊び、虫やカニやダンゴムシをつまんでつかまえ、花や葉を絞って色水をつくる。五感を刺激し、いろいろなものに興味をもち、好奇心や探究心を養う、すばらしい体験である。

 小学校理科の単元で、園の保育とつながりの深いものを挙げてみる。

3年 春の自然にとびだそう たねをまこう 花がさいたよ 実ができたよ チョウを育てよう 風やゴムでうごかそう

4年 雨水のゆくえと地面のようす あつくなると さむくなると 生き物の1年をふりかえって

5年 植物の発芽と成長 花から実へ 流れる水のはたらき 

6年 生き物のくらしと環境

 笠原こども園での保育を見て、本校にも築山か流水実験場がほしくなった。時間が空いた時に手を付けようと思う。

「どんぐりと山猫」(宮沢賢治)と笠原っ子

2025年10月15日 15時48分
地域との連携

 岡崎会館から、会館だよりへの寄稿依頼があった。タイトルは自由だが、人権や共生に配慮した内容を心掛けた。800字程度の字数という指定だった。今回は、宮沢賢治で書くことにした。図書室からお目当ての本を探してきた。

CIMG9408

 「どんぐりと山猫」(宮沢賢治)と笠原っ子

笠原小学校長  岡本 正彦

 

 宮沢賢治の童話「どんぐりと山猫」が、私は好きである。

 黄金色のどんぐりたちは、誰が一番えらいのかを山猫に決めてもらうために、三日間も裁判をしていた。「頭のとがりぐあい」「丸さ」「大きさ」「せいの高さ」などえらさの基準を各々主張し、山猫の仲裁は全く聞き入れられなかった。

 一郎少年が助言したのは、「いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらい。」ということだった。これでどんぐりたちを一分半で黙らせ、解決してしまう。逆説で論破しているように読み取れるが、賢治の詩「雨ニモマケズ」の中の「デクノボー」や、「虔十公園林」の「本当のさいわい」につながる、仏教的な教えや老荘思想を含んだ深い寓話なのである。

 笠原っ子は、一年生から六年生まで学級編制がなく、同じ集団の中で成長する。衝突し、どっちが上なのかを争い、学級内で人間関係が固定化していき、それによって苦しくなってしまうことがある。大人から見れば、大した問題には感じないことでも、笠原っ子にとっては一大事である。私には笠原っ子が、黄金のどんぐりの姿に重なってしまう。

 多様な価値観や基準のある中で、優劣を競いすぎることは、それほど大切ではない。「頭がいい」とか「走るのが速い」とか「力が強い」とか「絵がうまい」とかよりも、お互いのよいところをもっと認め合ってほしい。

 先生たちも、基準を厳密にして優劣(成績)を付けることに、一生懸命になりすぎないほうがいい。小学校の成績だけで、その子の人生が決まるわけではないのだから。

 笠原にとって、一番えらいのは、「ふるさとである未来の笠原を支える人」である。大人になっても笠原に住んで、地域を直接支える人もいるだろう。スポーツや勉学などに励み、笠原を離れて活躍する人もいるだろう。たとえ笠原を離れても、笠原を忘れず大切にする人は、やっぱりえらいと思う。

一本のバナナから

2025年10月14日 13時36分
研修

 院生のころ、高校の社会科の実践として大津和子さんのバナナの授業が話題になった。生徒にバナナを食べさせ、国際理解の学習へと発展していく。今の探究学習のはしりである。当時買った「一本のバナナから」という本を自宅の本棚から探したが、見つからなかった。実家の方かもしれない。

一本のバナナから

 大津さんの実践が頭に残っていたので、バナナの木が教材になるかもしれないと思い、学校に持ってきたのだ。

 「バナナと日本人」(岩波書店)という鶴見良行さんの書籍も話題になり、1980年代後半から90年代の初めごろは、バナナが社会科の教材として脚光を浴びていた。この本も持っていた。たぶん実家にあるだろう。

バナナと日本人

 「バナナ」を切り口として、授業展開を組み立てていく大津さんの構想力が、私には魅力的だった。社会科の授業とは、こういうふうに作り上げるのだ、というコツのようなものをつかんだ。「教科書を教える」のではなく、「教科書で教える」授業は、今でも十分通用する。切り口は「バナナ」でなくてもよい。そんなダイナミックな「探究学習」を笠原をテーマにやれたらすばらしい。 

 例えば、「地球温暖化がこれ以上進んだら、笠原ではお茶のかわりにバナナを栽培したほうがいいか?」というテーマで、環境や経済を学べると思う。私が担任だったら、5年生の社会科か総合で10時間ぐらいの単元を構想するだろう。

 バナナの木を、学校の花壇か農園に植えるだけではもったいないので、どこかの学年で教材に使ってもらえたら、うれしい。

バナナの木

2025年10月14日 12時52分
研修

 私の地元(磐田市豊田地区)の祭典では、「山下園芸」さんが、蘭の鉢を提供してくださり、毎年格安で販売している。今年は、蘭に加えてバナナの鉢もあった。

 祭典の終わりになってもバナナの鉢が売れ残った。私が「学校に持っていくから買い取るよ。」と、1000円払うと、もう一鉢おまけしてくれた。1鉢500円は格安である。

CIMG9182

CIMG9186

 子どもたちが登校する前に昇降口に並べて反応を観察した。

CIMG9124

 「あっ、バナナじゃん。」「これ、食べれるの?」「家の近くにもバナナを植えてあるとこある。」「すごく大きくなるよ。」

 1~6年生で、反応を示したのは全部で9人。ほとんどの子は素通りしていく。

 「バナナ」で探究学習を仕掛けようと思っている。

第6回職員会議 校長指示事項

2025年10月8日 16時13分
研修

   本日、午後に行われた職員会議で、教職員に話した内容です。

 ここから1か月半が、2学期の山場です。校内運動会、修学旅行等の学校行事が続きます。子どもたちにとって「楽しい学校」になるような働きかけをたくさんしてください。「学校に信頼できる先生がいる」と思えるような子どもや保護者や地域の人を増やしていきましょう。地域に信頼され、地域とともにある学校が、中山間地にある笠原小学校の向かう方向なのです。

 私は、1学期に先生方に対して「笠原小の全員の子どもの顔と名前を覚えて、名前で呼びかけてほしい。」と伝えました。みなさんは、今118人のどのくらい覚えられましたか。校内ですれ違って名前が分からない子がいたら、意識して調べて覚えようとしないと、このまま1年終わってしまいます。授業や委員会活動、通学班などで関わっている子しか覚えられていない先生は、10月にがんばってほしいです。こういう地道な取り組みの積み重ねで、学校は子どもや保護者の信頼を得ていくものです。

 先日、図工の学習中に彫刻刀でけがをした児童の保護者に、電話を掛けていた先生がいました。担任外の保護者に対しても丁寧に対応する姿がよかったです。保護者から折り返し電話があったそうですが、保護者の印象はかなり良かったと想像します。

 子どもも保護者も先生のことをよく観察しています。「子どもにとってうれしい」存在になれるといいです。あなたは笠原小の子にとって、いてくれてうれしい存在になれていますか。幼児教育では、子どもに最も影響を及ぼすのは、人的環境だと言われます。小学校でも同じだと私は思います。人的環境とは、あなた自身の子どもに対するやさしさの度合いなのです。

10月のアサガオ

2025年10月8日 08時11分
環境教育

 学校の隣の永徳寺の生垣には、アサガオが巻き付き、花を咲かせています。

CIMG9064

 葉がハート形の、「ヘブンリーブルー」という品種です。夏の日差しを遮るグリーンカーテンの普及とともに、十数年前から園芸店で種が広く売られるようになったのを記憶しています。「ヘブンリーブルー」は、日当たりのよい場所ならば、12月でも花を咲かせ続けます。

 いっぽう、学校の東門のフェンスにもアサガオの花が見られます。夏の間に咲いたアサガオの種子が落ちて発芽したものです。昔から広く栽培されてきたアサガオです。暖かいので年に2回花が咲きます。ただ、10月のアサガオは夏に比べて花が小さいです。葉を見ると牛の顔のような形をしています。

CIMG8990

CIMG9062

そろそろ帰ろうか

2025年10月8日 08時00分
環境教育

 春に飛来し、子育てを終えたツバメは、夏の間は河口の草原に集団ねぐらを作って過ごします。秋を迎えると、南方に変える準備を始めます。今朝、笠原小運動場の上空には、ツバメが20羽ほど集まって飛んでいました。「そろそろ帰るぞ」と触れ回って仲間を集めているのでしょう。

CIMG9060

CIMG9061

 写真に撮ると、ツバメの姿はよくわかりませんでした。うーん。

 この時期は、ワシやタカの仲間も移動を始めるので要注目です。愛知県の伊良湖岬に集まるサシバが有名です。笠原でもサシバが見られます。トビよりも小さいタカの仲間です。

https://www.taharakankou.gr.jp/spot/spot.php?search_category1=1&spot_id=344