校長のあたまのなか

なるべく小さな幸せと

2024年4月15日 17時53分
園と小学校との接続

 今夜はPTAの会合があるので、役員さんの到着を待っているところです。その間にちょっと考えたこと。

 THE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)の曲に「情熱の薔薇」があります。個人的に大好きな曲で、今朝の通勤途中の車でも聴いてきました。TVコマーシャルや番組のBGMでも流れることがあるので、サビの部分だけは耳にしたことがある人もいるでしょう。

 私は、しばらく幼児教育の仕事に携わっていたので、ルソーの「エミール」を研修資料作成のために読み返したことがありました。情熱の薔薇の歌詞の意味が深く、「これ、エミールじゃん」と妙に納得してしまったことがあります。

 なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ なるべくいっぱい集めよう そんな気持ちわかるでしょう

 ルソーはエミールの中で、自由や幸福について論じています。自分の能力を知り、理性でコントロールでき、多くを望まないことが幸福であり、欲望と能力の不均衡が不幸につながると言っています。

 甲本ヒロトは、ルソーの思想に近いと感じます。自分の能力と欲望のバランスが取れているから、「実現可能な小さな幸せと、ダメージの小さい不幸せを集めたいっていうオレの気持ち分かるだろう」と問うているのです。

 うん、よくわかる。昔は気にならなかった歌詞が今は胸にグッとくる。そのうえで「情熱の真っ赤なバラを咲かせるために心のずっと奥の方にある花瓶に水をやるんだぞ。」というメッセージもすばらしい。甲本ヒロトさん、あなたはすごいです。

 でも、「見てきた物や聞いた事 いままで覚えた全部 でたらめだったら面白い」の歌詞は、教員としては困ります。ハイ。

きれいなジャイアン

2024年4月15日 10時03分
その他

きれいなジャイアン100_0195

 初めて子どもたちに出会った4月5日に私は、「きれいなジャイアンを目ざします」と言いました。その日から子どもたちに「なんでジャイアンなの?」と聞かれることが多くなりました。

 きれいなジャイアンは、てんとう虫コミックス36巻の「きこりの泉」に出てきます。ひみつ道具のきこりの泉に物を落とすと、女神ロボットがあらわれます。正直に答えると、すてきな物に交かんしてくれるのです。よくばりなジャイアンは、ガラクタを泉に入れようとして、自分が落ちてしまいます。女神ロボットがつれてきたのが「きれいなジャイアン」なのです。

園の保育者と小学校教員とのギャップ

2024年4月12日 13時33分
園と小学校との接続

 「環境」と「遊び」の認識が全く違うと感じます。

 園は「環境を通して行う教育・保育」なので、「環境」とは遊びの場の設定や準備そのものを指すことが多いです。

 小学校では、「環境教育」「自然環境」などの理科的な使われ方と掲示物や施設等を含め「教室環境」という言い方をします。

 園の保育者は、子どもたちがとことん遊びに没頭するような仕掛けを考えるのが得意です。遊びこめないときは、「環境」が悪かったのだと反省します。どうやって子どもたちを遊ばせようかと日夜考えているのです。

 小学校の教員にとって、遊びは子供たちへのご褒美のようなものです。がんばったときや学期末のお楽しみ会で遊ばせてくれます。ふだんの学習では、どうやって遊ばせないようにするかに気を遣います。余分なものは机上に出さないのも遊ばせないためです。

 遊べば遊ぶほどほめられていた園から小学校に入学した幼児は、戸惑います。「小学校でも遊んでもいいんだ」と知ることで、心理的安全性が高まります。

 「さんすうせっと」は、幼児にとって宝箱です。でも、小学校教員は、いかに遊ばせないようにするかに気を使い、必要なものだけを机上に出させ、指示があるまで触らせません。幼児が小学校で初めに身に付けるのは、待つこと、聞くこと、我慢することになりかねません。

 笠原小では、算数の学習が始まる前に、1年生に「かずのおけいこどうぐ」でとことん遊ぶように指示を出しました。そのかわり、時間が来たら自分で片づけをするという約束をしておきます。

 

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)とは?

2024年4月12日 11時13分
園と小学校との接続

 10の姿を園と小学校が共有し、つないでいくことが求められているのですが、小学校の先生方にとっては10の姿のとらえ方が分かりにくいと思います。勘違いされやすところですので、まとめてみました。

 園では、小学校教育の前倒しを行っているわけではありません。 園で育ててくれた力を、小学校側がゼロスタートでリセットしないように引き継いでいきましょう。

10の姿.pdf

ただ、遊ばせているわけじゃありません。

2024年4月11日 16時25分
園と小学校との接続

 1年生が、遊んでばかりで学習していないように見えるかもしれません。でも、これがスタートカリキュラムなのです。教科の枠と時間の枠を外して弾力的な活動を行い、小学校の生活を園に近づけています。スタートカリキュラムが必要なわけをまとめてみました。ぜひ、ご覧ください。

スタートカリキュラムが必要なわけ.pdf

インクルーシブ教育って何

2024年4月10日 10時15分
特別支援教育

 ドラえもんに出てくるジャイアンは、暴言・暴力があり、衝動性が強いので、特別支援学級(自閉症・情緒)?

 のび太くんは、学習についていけず運動も苦手なので、軽度知的障害と発達性協調運動障害(DCD)のゆっくりさんだから、特別支援学級(知的)?

 そうやって、子どもを選別して、できすぎ君としずかちゃんだけの通常学級になったら、先生は楽かもしれません。でも、学級として楽しいでしょうか?

 いろんな子がいるから、事件やドラマが起きます。それが学級経営のだいご味ではないでしょうか。毎週、事件が全く起きない刑事ドラマをテレビで見たいと思いますか?

 50年前に発表された小説に「兎の眼」(灰谷健次郎 作)があります。笠原小の図書室にもあります。久しぶりに読み返すと、インクルーシブ教育の原点を感じます。若い先生方には、夏休みにぜひ読んでほしいです。

(4月9日 特別支援教育の研修にむけて)

チコちゃんみたいな子を増やしたい

2024年4月10日 09時59分
研修

 大人も分かったつもりになっているだけかもしれません。例えば、磁石がなぜくっつくのか、使っているうちになぜ電池がなくなるのか、先生方もきちんと説明できないのではないでしょうか。磁力とか、電流とか、イオンとか何か別の用語を使って話すことで、分かったつもりになっているだけかもしれません。リニアモーターカーや電気自動車が次世代の移動手段になる未来において、磁石や電池にはまだ研究の余地があります。

 大人も子供も、知っているつもりになっているだけで、チコちゃんに叱られない限りは、それに気づきません。

 永遠の5歳児であるチコちゃんは、好奇心旺盛で当たり前のことを疑うクリティカルシンキングができる子です。笠原小からも「なんで?」と鋭く尋ねるチコちゃんを増やしてください。

 子どもの思考力を高めるには、試行錯誤の機会と時間を十分に保障しなくてはなりません。時間による効率(タイパ)を求めすぎると、失敗が許されない窮屈な学習になります。

 学びを楽しむためには、教師主導によるやらされ感のある授業ではなく、子どもに主体性と自由度をもたせた学習スタイルを構築する必要があります。40分間の学習展開を予想しているくらいでちょうどよいでしょう。

(4月8日 校内研修を始めるにあたって)

すごい石の話

2024年4月10日 09時18分
その他

 笠原小には50年前からすごい石があります。開校100周年の記念に地域の方が校舎1階の階段の登り口に置いてくれました。

 自彊の石(がんばりの石)といいます。本当にがんばりたいときにこの石に触ると、パワーアップして力が出せます。ただし、のび太君のような怠け者がさわってもダメです。自分で「ギリギリまでがんばって、ギリギリまでふんばってピンチの連続」のときにこの石に触ってパワーをもらってください。

(4月5日 始業式の校長の話から)