園と小学校との接続
日課変更で、今年は休み時間が長くなりました。2時間目と3時間目の間の休み時間は20分間あります。昼休みは通常25分間ですが、火曜日と木曜日はわくわくタイムとしてさらに20分間延長され45分間たっぷり遊べます。サッカーや野球での使用の制限もありません。
学校が楽しいかどうかは、
①休み時間に好きなことを思いきりできること
②友達からいじめを受けたりいやなことをされたりしないこと
③自分の居場所があること
④話が合う人(大人でも子どもでもよい)がいること
が大事だと思うのです。学習だけをがんばり続けるのは、小学生にとって無理があります。たっぷりと遊ぶことで、気持ちを切り替えて学習にも取り組むことができるでしょう。協働的な遊びを楽しめない子は、協働的な学びもうまくいかないのです。
笠原小学校で本年度、欠席や遅刻が減ったのは、休み時間を増やしたことも要因の一つだとうれしいです。校長としては、学習7割、遊び3割の日課が理想です。自分が小学生だったころは、特別活動が今よりもずっと盛んで、学級裁量の時間があって、みんなで遊んだのが楽しかったです。




授業
私自身も6年生のときに、宮沢賢治の「やまなし」を学習した。正直よく分からなかった。今日、6年生の授業を参観すると、「クラムボンは、何だろうか。」と考えていた。正解はない。よく考えても答えは出ないからモヤモヤする。


自分が教員になって、6年生を担任することが何度かあった。「やまなし」で毎回苦労した。「やまなし」は、難解教材とされ、国語が得意な先輩教師からは、「『やまなし』が教えられるようになったら一人前。」みたいに言われた。30年ほど前は、物語文の学習に10時間以上かけ、ねっちりと内容の読み込みをしていた。研究授業で「やまなし」が当たると、必死で教材研究をしたものである。難しいものをありがたがるような、小学校教師の世界の雰囲気はまだ消えていないのだろうか。
実際、教師の力量によって、「やまなし」の授業は、かなり差が出ると感じる。賢治作品でも「注文の多い料理店」のように、分かりやすいものに変えてあげればいいのにと思う。
宮沢賢治は、「やまなし」の推敲で、当初は五月と十一月だったそうだ。クラムボンやイサドという名前に深い意味はないこと、謎解きの物語ではないことも分かってきた。「やまなし」を読み込むには、賢治作品の比べ読みが有効である。「よだかの星」「虔十公園林」などをいっしょに読むといいのだが、今の授業時数では、そこまで余裕がない。かえって教えにくいと感じる。
今も昔も「やまなし」は、子どもにとって分かりにくく、教師にとっては教えにくい。罪深い教材だと思う。
研修
朝登校すると、子どもたちは、午前7時50分まで屋外や階段の前の廊下で待っています。早い子は午前7時40分には登校してきます。子どもたちが本に親しむために本のコーナーを設けてあります。本を選んでくれたのは、教育実習生のKさんです。


学校の隣の永徳寺のwさんは、毎朝、子どもたちの登校を見守り、挨拶の声を掛けてくれます。読み聞かせサークル「ゆりかご」のメンバーでもあります。登校指導の際に話をする機会が多いです。ある日、
「校長先生、子どもたちが本に親しむために、去年みたいに昇降口に本のコーナーをつくってください。」
「分かりました。教務主任に伝えて用意させます。」
後日、wさんが来校された際に、「あの本じゃ、子どもたちは手に取らないよ。」と指摘されました。まじめな教務主任は、教科書に出てくる本を選んで並べていたのです。うーん。
教育実習生のKさんに「昇降口の本を、子どもたちが喜んで手に取る本に変えてほしい。Kさんセレクトでお願いします。」と頼みました。大正解。
環境教育
ビオトープに植えたフジバカマに花が咲き始めました。あまくていいにおいがします。今年は、アサギマダラが来るといいです。

笠原小の校庭の西側では、クズの花が見られます。これも秋の七草です。つるを伸ばして樹木に巻き付き、かなり上の方に花を咲かせています。見つけられますか?
防災
朝、出勤すると、笠原コミュニティーセンターの駐車場の崖の樹木が剪定されていました。かなり太い枝もチェーンソーで落としてくれてあります。土日の間に館長さんが一人で伐ったに違いありません。お礼を言おうと思いましたが、月曜は休館日でした。



伐採して、林床が明るくなると、アカメガシワが生えてきます。昨年度剪定した崖のアカメガシワも1年で枝をフェンスの越しに伸ばしています。植生の遷移の中で荒地や明るい土地に初めに生えてくる陽樹です。

植生の遷移についての補足説明は以下のリンクから
https://estela.hatenadiary.jp/entry/2023/06/02/043629
園と小学校との接続
今晩、午後6時30分からPTAの会合がある。それまで時間があるので、かねてから危惧していることを書いてみる。
子育て支援政策の一環として、高等学校よりも早く、保育料の無償化が実施された。その結果、どんなことが起きたのか。磐田市の幼稚園保育園課に勤務していた3年間で見聞きしたことを、支障がない範囲で伝えたい。今後、公立高校にも園と同じことが起きるような予感がするからだ。
磐田市では令和5年度に、私立園に在籍する園児数が、公立園に在籍する人数を上回った。親は、施設が新しくきれいな私立園を選ぶ傾向が強まった。小学校に隣接する幼稚園は小規模化が進行し、入園式が4人で行われることがあった。全園児数が20名以下の公立幼稚園が出始めたのである。
築70年近い古い園舎は建て替えられず、幼保再編計画のもとに統合されたり、私立園化したりした。過去10年間で公立園が10園以上なくなったのである。
公立の幼稚園・保育園・こども園は、子どもの主体性を大切にした質の高い保育が行われていることが多かった。私立園では、園独自の方針のもと、昔ながらの一斉保育が行われていることがあった。公立園の教育・保育レベルが高くても、発信力が弱いせいか、親の目に私立園の方が、魅力的に映ってしまうようだった。率直に言えば、公立園の人気が落ちたのである。
さて、高等学校の話である。施設がよく整備され、部活動の実績もあり、授業のサポートや大学への推薦制度が手厚い私立高校は、保護者にも生徒にもアピール効果が高いだろう。学費が高いからと敬遠していた家庭が、無償化ならばと、私立高校を選ぶのではないか。
県立・公立高等学校の定員割れ、学力レベルの低下が起きかねない。甲子園の野球を見ても、出場校は私立高校ばかりである。部活動で活躍したい子も、私立に流れるのではないか。結果として、県立高校の再編や統合が加速すると予測する。園で起きたのと同じことが今度は高等学校で起きると思う。
弊害としては、教育格差が広がることが揚げられる。園のときもそうだったが、私立に対しては、行政は補助金は出すが、教育委員会等によるコントロールは難しくなる。県や市としての教育の方針を示しても、私立は、教育課程や授業時数や学習内容まで独自色を強めるだろう。
保育費や学費に差がなくなれば、公立がスタンダードではなくなり、幼児の段階から私立志向が強まると思う。そんな未来が10年後には来そうな気がする。
働き方改革
9月分の自校集計では、常勤19名の超過勤務時間(残業)の平均は、18時間13分だった。7月は19時間30分だったので、1時間17分の減である。1年前の令和6年9月の超過勤務時間が、20時間28分なので、昨年度よりも短くできている。
今月、45時間超は1名、教頭と教務主任の超過勤務時間はそれぞれ、47時間49分と29時間00分だった。学級担任で最も超過勤務時間が長かったのは、32時間28分だった。
サマータイムで児童が早めに下校し、放課後の時間が大目に取れたことで、学級事務や校務分掌を勤務時間内に行うことができたことが要因である。
防災
傾斜度が30度未満であっても、笠原地区の河岸段丘層に生えている樹木は、倒れてくることがあり、注意が必要です。昨年度、学校に隣接した森を整備していたときに、変な向きに生えている木を何本か見つけました。


礫を含んだ砂や泥の層はしっかりと固まっておらず、大雨のときに土の部分だけ流れ出てしまいます。すると、地層の中の礫が崩れて、樹木の根ごと滑って木が傾くのだと想像できます。学校に隣接した森の傾斜は、30度未満の場所があります。傾斜が緩くても、樹木が傾くのです。
笠原コミュニティーセンター南側の急傾斜地は、土砂災害計画区域に指定されています。館長さんが一人で、樹木の剪定や伐採を行ってくれています。昨日の夕方に話をうかがったときには、「木の根元の土が流れて、石ばっかりになっている。崩れると危ないので木の頭を軽くするように伐ろうと思っている。中には水平に近い角度で枝や幹が伸びてるところもある。」とのことでした。
確かに、館長さんが伐採しようとする木の下の斜面には、小石が流れて積もっています。


倒木による被害を減らすために、定期的な樹木の剪定が効果的です。しかし、高所作業車による伐採や剪定は高額なため、思うように進まないのが実情です。
伐採したあとも、すぐに自然に生えてくるアカメガシワやセンダンなどの陽樹を大きくしないように管理する必要があります。

磐田市の幼稚園保育園課勤務だった3年間には、磐田原台地の崖が崩れる被害が発生しました。豊岡地区にあるこども園の園庭の一部にも土砂が流れ込みました。土砂災害警戒区域でなくても、崩れることがあるのです。今は、日本中どこであっても豪雨による土砂災害や洪水が起きかねません。もともと可能性が高い笠原地区では、教職員や児童生徒だけでなく、地域住民の危機意識を高めていくことが、安心・安全の確保につながると思うのです。
当時のニュース映像の動画のリンクをはっておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=omhOZjg4DnU