奈良時代には、天皇や貴族が武器を持って戦っていました。平安時代になると、公家となった貴族は、軍隊を放棄しました。「死」にかかわることは「穢れ(けがれ)」とされたからです。
自分で切り開いた農地は、有力貴族に寄進して荘園とすることで守ろうとしましたが、武力をもたない貴族は、争いを解決することはできません。やむを得ず、力のある農民や役人は、自分の土地や財産を守るために武装するようになりました。
いっぽう、天皇になれなかった皇族の中から、検非違使(けびいし)などの令外官(りょうげのかん)になって、武装した一族が力をたくわえてきました。それが、平氏や源氏といわれるグループです。
地方の武士たちは、力のあるボスの下について、自分の土地を守るために命懸けで戦うようになります。一所懸命という言葉のとおりに。最後は、貴族から力ずくで政権を奪い、武士の世の中が誕生します。
多数決の選挙で物事が決まる現代の民主主義とは、ずいぶんと仕組みが違います。どちらが良くて、どちらが悪いのではなく、歴史の流れの中で、世の中の常識が変わっていくのです。