校長のあたまのなか

少子化の 波は これから やってくる

2024年5月29日 11時57分
その他

 磐田市こども部幼稚園保育園課で3年間、幼児の就学支援、小学校との円滑な接続、保育者向け研修の主催、要保護等対策協議会などの業務を経験したことで、自分自身の視野が広がったと感じている。同時に、急激な少子化がどのような影響を及ぼすのかについて目の当たりにした。園で起きていることは、数年後に小学校で起きることだと予想が付くため、今後の学校運営の難しさを実感している。

  今、幼稚園への入園希望者は激減し、存続が厳しくなっている。3,4,5歳児を合わせても30人以下という公立幼稚園がいくつもある。一方で、人気のある保育園には入園希望者が集中している。今後は、こども家庭庁の主導で幼稚園のこども園化が進んでいくであろう。こども園化することで、保育園枠の需要を取り込めるからである。

また、0,1,2歳児の待機児童解消のために、国の地域型保育事業によって作られた小規模保育園(定員19名以下)は、待機児童が大幅に減り、補助金が打ち切られれば、運営が厳しくなることが予想される。

園では、少なくなった幼児を公立と私立の園で取り合う状況も生まれてくる。公立園の勝ち目は薄く、自治体は今後の少子化を見越して園の再編、民営化を進めている。磐田市では、過去10年間に11の公立園が閉園した。 

小学校は、学区に住んでいる児童が学齢に達すれば、自然に入学してくるため園に比べて危機感が薄いと感じる。営業努力をしなくても客が入る店のようなものである。

しかし、以下の表を見ると、小学校も安心してはいられない。6年後の1年生は、今年の1年生よりもずっと少ない。6年後には、磐周の小学生の数は、今年より約3400人減ってしまう。しかも減り方は、地区によってかなり差がある。

小学校では低学年から徐々に学級数が減少し、1クラスの人数が増える。磐田市では、1年生の半数以上が30人以上学級である。単学級の小規模校は、複式学級への移行か、統合かを選択する必要に迫られていくだろう。教員数と学級数が減少する過渡期には、学級内の人数が増え、教員の負担がさらに増す。それが、小学校でこれから起きることである。教員の多忙化解消と働き方改革は、校長としての急務だと考える。

磐周校長会だより第146号への寄稿)

磐周地区の子どもの数.pdf
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