校長のあたまのなか

第2回校内就学支援委員会を前に思うこと

2024年6月25日 16時59分
特別支援教育

 磐田市で3年間、幼児の就学支援の業務に携わった。園での様子を見に行ったり、保護者と面談を行ったりした。資料を作成して市や県の就学支援委員会の審議を行い、小学校入学時に特別支援学校や特別支援学級などにつなぐお手伝いをしてきた。公私立園だけでなく、認可外の園も含め、年間100件近くの幼児にかかわり、自分なりに分かってきたことがある。

 園の保育者は、良かれと思ってその子を療育に通わせようとするが、小学校入学後のその子の姿が意外と見えていない。

 小学校教員は、良かれと思ってその子を特別支援学級などに入れようとするが、中学校卒業後のその子の社会自立が意外と見えていない。

 その結果、園でも小学校でも、「就学支援」が、通常学級に居られない大変な子の選別作業になりかねない。そのための手段として、知能発達検査や医療受診を勧めることになる。

 磐田市就学支援委員会では、義務教育の期間に審議する児童生徒数と、園の年長児の審議数がほぼ同じだった。小学校入学時にかなりの数の、特別支援学校や特別支援学級の判断を出しているのである。

 不思議なのは、園では何ともなかった、または、何とかやれていた子が、小学校入学後に就学支援の対象児となることである。小学校の特別支援コーディネーターから園に、「何で情報をあげてこなかったのか」と言われ、困惑することになる。別に隠していたわけではなく、園では問題はなかったのである。そんな事例が、年に数件あった。小1ギャップといわれるものの何割かは、小学校による環境調整の失敗ではないかと、私は思う。責任を園や保護者に求められても困るのではないだろうか。

 「インクルーシブ教育」として、意識したいことが3点ある。本校の職員にも伝えていくつもりである。

・障害の有無に関係なく、すべての子が幸せに学校生活を過ごすための環境調整である。

・診断名や検査結果だけで子どもを判断せず、成育歴や愛着の形成歴に思いを寄せる。

・今、その子をどうするかだけでなく、その子の社会自立までを視野に入れて支援する。