校長のあたまのなか

インクルーシブ教育の中での「特別扱い」

2024年7月16日 16時30分
特別支援教育

 本校では、通常学級に在籍していて、学校生活や学習に困難が伴う一部の子に対して、「特別扱い」をしています。無理をさせず、叱責しないことが基本です。その子が頑張れるための、環境調整を可能な限り行っています。いわゆるグレーゾーンと言われるような子たちで、学校での支援が難しいとされています。「誰一人取り残さない」が、スローガンのみにならないように、チーム学校で対応をしているところです。

 「特別扱い」が、「あの子だけずるい」につながらないように、きちんと伝えたほうがよいと考え、個人が特定されない範囲で、説明しようと思います。

【事例1】

・教室に入ることが難しい算数と社会科の学習は、少人数または個別指導で対応。級外教員か支援員が付く。

・その他の教科等でも、どうしても教室にいられない場合、担任に伝えたうえで、校長室または保健室で対応。本人には否定的な言葉がけをせず、できたことを認めるようにしている。

・保護者との面談を行い、校内でのケース会議を経て、対応を決定した。初めに特別支援教育ありきではないので、特別支援コーディネーターは、ケース会議に加わらなかった。

・スクールカウンセラーとの個別面談や取り出しによる日本語支援は継続中。

・ただし、就学支援も同時進行で進め、特別支援学級への入級の可能性も探っている。

【事例2】

・無気力または、学習についていけず、授業妨害に近い態度が見られることがあったため、頻繁に授業巡視を行い、複数人の目で状態を観察した。学級全体にも良くない影響が出始めていると判断し、対応を開始した。

・本人には「教室にいるのがつらいときには、別室で過ごしてもよい」ことを伝えた。保護者にも連絡をして、承諾を得た。夏休み中にケース会議を実施予定。

・自分から教室を出なかったり、その場を動かなかったりしたときには、担任以外の級外職員で対応して、クールダウンを行った。校長室でじっくりと話を聞くこともあった。

 

 事例1の子も事例2の子にも共通していたのは、自己肯定感がかなり低いことでした。困った表れへの対処だけでは、問題は解決しないと感じます。学級編成替えがなく、人間関係が固定化していることも一つの要因ですし、愛着形成を含む家庭での問題も関係しているかもしれません。