校長のあたまのなか

一本のバナナから

2025年10月14日 13時36分
研修

 院生のころ、高校の社会科の実践として大津和子さんのバナナの授業が話題になった。生徒にバナナを食べさせ、国際理解の学習へと発展していく。今の探究学習のはしりである。当時買った「一本のバナナから」という本を自宅の本棚から探したが、見つからなかった。実家の方かもしれない。

一本のバナナから

 大津さんの実践が頭に残っていたので、バナナの木が教材になるかもしれないと思い、学校に持ってきたのだ。

 「バナナと日本人」(岩波書店)という鶴見良行さんの書籍も話題になり、1980年代後半から90年代の初めごろは、バナナが社会科の教材として脚光を浴びていた。この本も持っていた。たぶん実家にあるだろう。

バナナと日本人

 「バナナ」を切り口として、授業展開を組み立てていく大津さんの構想力が、私には魅力的だった。社会科の授業とは、こういうふうに作り上げるのだ、というコツのようなものをつかんだ。「教科書を教える」のではなく、「教科書で教える」授業は、今でも十分通用する。切り口は「バナナ」でなくてもよい。そんなダイナミックな「探究学習」を笠原をテーマにやれたらすばらしい。 

 例えば、「地球温暖化がこれ以上進んだら、笠原ではお茶のかわりにバナナを栽培したほうがいいか?」というテーマで、環境や経済を学べると思う。私が担任だったら、5年生の社会科か総合で10時間ぐらいの単元を構想するだろう。

 バナナの木を、学校の花壇か農園に植えるだけではもったいないので、どこかの学年で教材に使ってもらえたら、うれしい。